施主直営 分離発注方式では、
工務店に工事一式を任せるのではなく、建て主が直接に各専門業者と工事契約を結びます。
設計者は、各業者への見積もり依頼、業者選定、請負価格の決定、契約事務などをサポートします。また、通常の設計・工事監理だけでなく現場の工程管理など工事全般を取り仕切ります。
素人である建て主が自分で工事発注などできるのでしょうか?
そこは設計者が工事マネージャーとしてサポートします。工事費を検討するための資料を用意し、建て主と一緒に業者を選び、工事契約の手はずを整えます。
そのための工事マネージメント料はいただきますが、一括請負の場合の工務店の経費と比べて決して高いものではなく、むしろコストダウンになると考えています。
建て主が苦労して建設プロセスに関わってどんな良いことがあるでしょうか?
見積もり・発注に直接関われば、左官、鈑金などの専門業者の見積もりを直接見ることが出来ます。実質の工事費がいくらなのか、経費はいくらなのかを明確に知ることが出来るのです。
工務店も見積書は出しますが、それは工務店がつくった見積書であって、専門業者の生の見積書とは異なります。工務店から先はブラックボックスなのです。
また、専門の職人と直接契約することにより、建て主と職人がお互い顔見知りとなり、信頼感と責任感が生まれます。
設計者とのコミュニケーションも通常のやり方より濃くなるので、さまざまな要望を伝えて、検討してもらうことができます。
工務店の都合で材料や製品の制約を受けることがなく、可能なものはなんでも使うことが出来ます。
そのようにして家づくりに深く関われば、出来上がったときの愛着もひとしおです。
まさに手作り。長く住み続ける家を合理的な予算でつくるには最適な方法なのです。
元請けに工務店や建設会社を入れなかったら、欠陥があった場合の補償やアフターメンテナンスはどうするのでしょうか?工事中の事故は?
工事中に関しては、大きなクレーンやダンプカーなどが出入りする工程が限定的な木造住宅工事では、 特に注意すべき工程を工事マネージャーを含めた関係業者がきちんと管理をすれば、事故を未然に防ぐことができます。
それでも不可抗力による事故は起こりえますので、工事保険に加入して頂きます。これにより建設中の建物の火災や盗難、第三者に傷害をあたえた場合に保険金が下ります。3〜40坪程度の家であれば10万円弱の費用です。
工事後の瑕疵保証に関しては、まず契約で保証期間を定めること、通常は2年程度です。
基礎、構造、屋根や外壁などの雨漏りに関しては、「住宅瑕疵担保履行法」に基づき10年間保証の住宅瑕疵担保責任保険に入ることが義務付けられています。分離発注であっても加入することができるので、最も請負額が大きな業者が幹事となって加入します。
そして、ここが最も大事なところですが、自分で個々の業者と契約していればどこが壊れたら誰に修理を頼めばいいのか?ということがわからないということがありません。仮に新築時の業者が廃業していても、代わりの業者を自分で探すこともできます。
施主直営というのは自分が工務店のようなものですがら、建ててもらった工務店や住宅メーカーが倒産して途方にくれることはありません。
当然、当事務所は竣工引き渡し後も定期点検を含め、可能な限りサポートします。
しかし家が完成する頃には建て主さん自身がそんな必要も無いほど建築に詳しくなってしまうかもしれません。
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