これだけ寒い日が続くと、我が家の断熱性能が気になりますよね。
断熱材の役割とはなんでしょうか。
「高気密高断熱」という言葉をよく聞きます。「魔法瓶のような家」というようなキャッチフレーズもあります。
断熱材は、”家をスッポリ包みこんで魔法瓶のように中の空気を保温する”というのが一般的な理解でしょうか。
これだと、家は断熱材ですっかり包み込まなければなりません。
外断熱万能説はこういうイメージから来ているのかなあと思います。
実際には、人が生活する空間には換気が必要です。
ビル建築では「全熱交換型」の換気扇がついており、取り入れる外気を排気の熱で温めてから室内にいれますが、
住宅にこういう装置を付けるのはまれです。
また、住宅の換気は2時間で1回、部屋の空気がすべて入れ替わるように設計されているので、
冷たい空気はどんどん入ってきてるのです。
では、なぜ寒くならないのか。
一つには、「輻射熱」のおかげです。
暖かい壁は熱を電磁波として放出し、冷たい壁は人の体や空気から熱を奪います。
それで、断熱材を入れることによって、壁などの構造躯体を冷やさないようにするんですね。
ファンヒータなどの暖房も、直接空気を暖めるだけでなく、
その熱で壁や床を暖めることによって部屋を暖めているのです。
さて、暖かさを感じるもう一つの要素があります。
それは「熱伝導率」です。
熱の”伝わり易すさ”ですね。
陶器に触ると冷たく感じて木は冷たくないのは、この”伝わり易すさ”が違うからです。
熱の伝わり易い陶器は触った手から熱が伝わって逃げてしまうので冷たくかんじるんですね。
同じ木でもタモやチークなどの堅木とスギやヒノキなどの柔らかい木とでは伝わり易さがずいぶん違います。
靴を履いて生活する欧米ではチークなどの硬い木がフローリングに使われます。
日本の家でも床暖房を入れる場合は硬い木を使いますが、
暖房していないときに裸足で歩くと、冷たくてしかたがありません。
逆にスギのフローリングの場合は床暖房など不要に感じるほどです。そのぶん傷はつきやすいですが。
漆喰などの熱容量の大きな材料(暖りにくくて冷えにくい)は熱をためる役割をし、
木材は体から熱を奪わないので、そのまま現しでもかまいません。
日本家屋は元々そうなっていますね。
伝統的な作りは、暖房や気密の技術がある現代でも有効な建て方なのです。
逆にせっこうボードなどでスッポリ覆ってしまうと、
気密や通気をきちんと行わないと、「内部結露」が起こるので注意が必要です。
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